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2018年04月15日

医学部と補欠からの繰り上げ合格

医学部、特に私立の医学部受験で重要な事柄の一つに、繰り上げ合格というものがあります。

繰り上げ合格とは

現在まで医学部は大変な難関となっていますが、私立の医学部では合格発表に際して、いわゆる「合格者」とともに「補欠」「補欠合格者」が発表されます。繰り上げ合格とは、医学部(医学科)の入学者数が定員割れした場合、補欠合格者の中から入学者を充足するものです。合格発表時の合格者を「正規合格」と呼び、この補欠合格者からの繰り上げ合格者と区別しています。

補欠合格者とは、この繰り上げ合格の候補になったことを意味するだけで、正式に入学を許可されているわけではありません。正規合格者は入学を辞退しない限り(入学金・授業料を払って)入学できますが、補欠合格者は繰り上げ合格になって初めて入学の資格を得ます。

補欠からの繰り上げ合格と聞くと例外的な扱いのようですが、私立医学部は、その入学者の過半が繰り上げ合格者であるのが普通です。私立医学部のトップといわれる慶応義塾大学医学部ですら、入学定員68名(2018年度)のうち、約50名が繰り上げ合格者で占められています。入学者のほぼ全員が繰り上げ合格者という私立医学部もいくつもあります。

補欠合格から入学までのステップは大学により様々です。補欠合格者の受験番号は合格発表時にホームページなどで発表するのが普通です。補欠合格者に「補欠番号」がついている場合、繰り上げ合格は補欠番号順に決まっていきます。繰り上げ合格者をその都度ホームページで発表する大学(日大など)もありますが、本人にのみ通知するという大学もあります。

通知の方法は郵送の他、電話連絡という大学もありますが、電話に出ないと次の補欠合格者に回ってしまいますので、注意が必要です。繰り上げ合格の時期も様々で、大学によっては入学式の前日(場合によっては当日)に通知が来ることもあります。

繰り上げ合格の最低点は?

このように、私立医学部の場合、補欠からの繰り上げ合格はむしろ一般的な入学のあり方です。目指すは正規合格ですが、私立医学部の正規合格者の多くは、併願する国公立に合格すると入学を辞退するという実態があります。私立医学部を目指す受験生にとっては、繰り上げ合格で入学しても万々歳、「目的は達した」と言えます。

そうすると繰り上げ合格の合格最低点が何点なのかが次の関心事です。しかし私立医学部の場合、正規合格者の合格最低点ですら明かしていない大学があります。繰り上げ合格の最低点は非公表なのが普通です。何人繰り上げ合格するかも当然ながら年度により様々ですから、一般的に言って、繰り上げ合格の最低点は正規合格の最低点以上に変動すると考えられます。

ただ、受験者全体の平均点を大学が公表している場合、ある程度推計することは可能です。受験者平均点を公表している数少ない大学の一つである金沢医科大学を例にとって考えてみましょう。

金沢医科大学医学部医学科の一般入試では、2017年の一般入学試験の(正規)合格最低点は400点満点中273点、受験者平均点は215点でした。受験者数は3382人で、第2次試験合格者数は115人となっています。さらに受験者全体の点数分布の標準偏差がわかれば、繰り上げ合格者までの合格最低点をある程度推し量ることができます。

ただし、金沢医大でも受験者全体の標準偏差は公表していません。そこでこれは推測にならざるを得ないのですが、標準偏差を32として計算すると、受験者3382人中上位115名までの点数は273.4点となります。ですので標準偏差はだいたい32としても差し支えないでしょう。

これに基づいて計算すると、仮に正規合格者115名の全員が入学を辞退するとして、改めて補欠合格者の中から115名の繰り上げ合格者を選んだとします。すると繰り上げ合格の最低点は262.7点となります。

大学の担当者の方々にお話をお伺いすると、正規合格者の最低点と繰り上げ合格者の最低点は「数点差」と聞くことがあります。10点あるかないかというぐらいでしょうか。だとすると、金沢医科大学の2017年度一般入試の場合、繰り上げ合格に必要な点数は263~265というところだったのではないでしょうか。

繰り上げ合格は簡単?

400点満点中263点なら、何とかとれるかもしれない、そう思う方もいるかもしれません。しかしこれもそう簡単ではないようです。

受験者の数が3300人以上と膨大ですから、正規合格者115名となると、受験者全体の偏差値は68以上です。263点としても偏差値は65となります。しかもこれは金沢医大の受験者数の中での偏差値ですから、全国レベルでの偏差値は65を上回る可能性もあります。

また前述のように繰り上げ合格者の数は毎年変動します。去年100人も繰上げしたのに、今年は30人のみ、ということもあり得ます。毎年の受験者の動向に目を配り、受験校を慎重に選ぶことも大切になります。



Posted by インフィアスタッフ at 15:35│Comments(0)
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